tamutenの日記

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【史上初】"女性"棋士誕生まであと一歩…

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本日(2020年3月7日)は将棋界にとって歴史的な一日になってもおかしくなかった。

将棋でプロになるためには、「奨励会(しょうれいかい)」で「四段」になる必要がある。そのためには、上位2名が昇段できる「三段リーグ」を抜けなければならない。

そして、歴代奨励会員で"女性"で四段になった者は誰一人としていない。

2週間前、プロ棋士を目指して奨励会三段リーグで闘う、西山朋佳三段(24)が今期リーグ12勝4敗で3位につけ、本日行われる最終節に昇段の望みをつないでいた。

そう、史上初の「女性プロ棋士」が誕生するかもしれないと大騒ぎだったのだ。

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順位は前期リーグの結果に拠っている。

結論から言えば、今回は残念ながら四段になることはできなかったのだが、今回のことは史上初の女性棋士誕生へ向け、大きな一歩となったのは間違いない。

層が厚かった今期

三段リーグの「例会」の今期最終節は本日であり、例会は午前と午後に分けて2局行われる。ここまで12勝4敗で3位につけていた西山三段は、本日連勝し、なおかつ、1位の谷合三段(13勝3敗)が2連敗するか、順位の差で2位の服部三段(12勝4敗)が1勝1敗以下だった場合、昇段することができる。

午前が終わって西山三段を含む上位3人はそろって勝利、この時点で谷合三段は四段昇段が確定、残る一枠が服部三段と西山三段で争われることになった。

私も女性棋士誕生を願って応援していたが、西山三段にとっては「他力」の形であり、ここまで来て服部三段も星を落とす確率は低いだろうと思ってもいた。

結果、服部三段は残る一局に勝利、四段昇段を決めた。

西山三段も最終局に勝利、14勝4敗で今期リーグを終え、次点となった。

 

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今期は3位で次点。しかし、次点2回で昇段という規定もある。

66回を数える奨励会三段リーグで、14勝4敗で昇段できなかった例は過去に6回だけある。ちなみに前回そのようになったのは、豊島将之竜王・名人、そしてYouTubeのイトシンTVでお馴染みの伊藤真吾五段。

通常の昇段の目安としては、13勝5敗程度。あの藤井聡太七段も四段昇段の時は13勝5敗だった。ほかに12勝6敗、11勝7敗での昇段事例もある。

今期は上位3人のほかに13勝5敗が2人もいた。層が非常に厚かったといっても良いだろう。

 

精神面の将棋への影響、そして年齢制限

「今、全ての雑念から離れられている気がしますし、一切の後悔がないように過ごせています。駄目だった場合の気持ちの整理は付いているので、いつも通り臨めると思います」

出典(https://hochi.news/articles/20200307-OHT1T50088.html

先日の取材で、西山三段はこのように語っていたそうだ。

将棋は盤上での強さはもちろんのこと、盤外での精神面の影響の非常に大きいのではないかと思っている。前期まで決して振るわなかった三段リーグだが、今期の成績は精神面の成長もあるのではないだろうか。

どこかの記事で読んだのだが、「先輩棋士たちが粘り強く指導してくれる。だから(プロ棋士を)あきらめられない。」そんなことも語っていた。応援される存在になれるというのは、本人の人柄もあってのことだろう。

プロ編入試験を経て棋士になった今泉健司四段(46)も「プロになれたのは奨励会時代と棋士編入試験の時の精神面の違いが大きい」と話している。

 

また、棋士になるのにあたり、大きな壁がある、「年齢制限」だ。

満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる。

 出典(https://www.shogi.or.jp/match/shoreikai/provision.html

毎年、4人の棋士が誕生する裏で、それよりもずっと多くの者が奨励会を去っている。

三段リーグは「自分のあらゆる感情のピークを知れる場所」ともいわれる。

皆ギリギリの状態で闘っている中で、私のような者が言えることなど限られているが、来期の昇段を願っている。